秋の季節

【伊勢海老】

伊勢エビ

伊勢海老は鯛と同じく、縁起物や長寿のシンボルとして祝いの席には欠かせない存在です。伊勢海老は夜行性のため、夕暮れ時に刺網を仕掛け早朝に網揚げするのですが、満月の夜は月明かりで網が見えるためか、ほとんど網にかからないそうです。古くは志摩海老と呼ばれていましたが、江戸時代より伊勢から江戸や京に送られたことから伊勢海老と呼ばれるようになったとされます。その生態には孵化後の幼生生活など未だに謎の部分もありますが、昭和63年に三重県が世界で初めて稚エビの人工飼育に成功しています。また胸部の長さが4.2cm以下の伊勢海老は採捕禁止とされています。

【真蛸】

真蛸は昼間は岩陰などの巣穴に潜んで夜になると外へ出て餌を探す習性があり、このような暗くて狭い場所を好む真蛸の性質を利用したのが蛸壺漁という漁法です。古代の遺跡から蛸壺が発見されるなど、タコは古くから日本人に親しまれてきました。伊勢湾口付近の潮の流れの速い海域で獲ったタコは身が締まっており、鳥羽磯部でも小浜の干ダコや、神島の潮騒だこ、畔蛸のたこ飯が有名です。またタコにはタウリンが多く含まれ、血を増やし気を養うとして滋養強壮食にもなります。

【サワラ】

サワラは漢字で春の魚「鰆」と書きますが、春を旬とするのは瀬戸内海で、鳥羽磯部では主に7月~12月に漁獲されます。とても身の柔らかい魚で、網で獲って身割れしたものは味噌漬けなどの焼物に、一本釣りで丁寧に取り扱われたものは刺身やたたきにされます。体長50cmくらいのものはサゴシ、1m近くの大きさになってサワラと呼ばれます。伊勢湾では海面を鰆がジャンプする姿もよく見られます。